理性の限界

bk1:書影
『理性の限界 不可能性・不確定性・不完全性』 (講談社現代新書 274p)
高橋昌一郎講談社777円
発売日: 2008/6
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時間があるときに読むべしと積んでいた本。冬樹蛉さんがこのへんで絶賛してるので参照(←椎葉もこれ見て買った)。
アロウの不可能性定理、ハイゼンベルグ不確定性原理ゲーデル不完全性定理。順に社会科学(合理的選択の限界)、物理学(科学的認識の限界)、論理学(論理的限界)のほぼ極限的といえる理論について、細かい説明を椎葉がだらだら書いてもこの本の特殊さを伝えられない気がするので多くは語りません。いずれも難解であることには定評のあるリクツを、数式もなにも使わず、平文の文章であっさりと説明しきっている、その手腕はすごい。完全に論理学は専門外どころか素人同然の椎葉のような者でも解らんなりに解った気にしてしまうおそろしい本。
囚人のジレンマナッシュ均衡ラプラスの悪魔EPRパラドックスシュレーディンガーの猫、パラダイム論、チューリングマシン。SFかじってると一度や二度は聞いたことのあるものどもにも言及あり。入院中の暇つぶしのつもりだったけどなかなかの読み応えでした。