『シノビガミ』読了(リプレイだけ)

現代忍術バトルRPG シノビガミ -忍神- (Role&Roll Books) (Role & RollBooks)

ビル風あばん(←人名)の丸独流って「マルドゥック」のことか(笑)。
どうりでバビロン3000年とか妄言かましてたわけだ(笑)。
もうたいがいのことで驚かない歳になってるけどシノビガミは面白い(笑)。読んでて腹筋吊るかと思った。


笑ってばかりでは役に立たないからちょっと考えたことを書いてみる。


このゲームはシーンプレイヤーがシーンを自分の好きに演出できるのが特長。
なんでも勝手にできるわけではなく、
ちゃんと[使命][秘密]という縛りがあるから
自分の目的のためにシーンを作ることを推奨されているのであって、
好きにできるけれども「勝手なことができる」わけではないのですね。


シーンはPCひとりに一回ずつ順繰りに行われ、それが三サイクルまわったらクライマックス。
なんと結末までの長さがあらかじめ決まっているという。
ここでタクティカルな要素がでてきて、
ほかのPCが絡んでくるのを除けば自分の好きにできるシーンは都合三回しかないので、
その間に自分の[使命]を達成するための調査も行いながら、
他のPCに協力を取り付けるか逆に敵対関係になるか、[秘密]を探り合い真相を推理して、
クライマックスにどういう行動を選択したら自分(=PC)の目的達成になるか、を考えなきゃならない。


なるほど。これはとてもプレイヤーを選ぶ(笑)。


そのぶん、システムはとてもよくできてます。
PCの目的達成、障害、決断、そのすべてを1回のセッションに破綻なく盛り込むシステム。
システムがわが逆に、プレイヤー自らがPC自身のシナリオを作ることまで要求してきます。
これはシーン演出に慣れたGM経験がないと難しいと言わざるをえず、
SW やら ARA やらセイクリッドドラグーンやら
「敵も罠もお宝もダンジョンも勢いでたたきのめす」系ゲームで RPG を始めた人は
果たしてこのリプレイ読んでも何やっていいか判らないんじゃないかな。

(椎葉自身の体験として SW しか知らなかった頃に N◎VA のリプレイ読んで、しばらく何をやるゲームか理解できなかったことがあるので。個人の経験だけで一般論に敷衍するのはオロカだけど、SW リプレイの文脈でしか読めないプレイヤーでは「シノビガミ」にはついてこられないと思う)


自分がプレイヤーで参加するなら、まあ何やるゲームかくらいは理解できてるつもりなので
たぶんそれなりにプレイできるとは思います。


が、GMやるとなるとハードルが高い。


このゲーム、プレイヤーがシーンを演出できるのはいいのだけれども、
実際にはそのシーン演出の拠り所(根拠、行動原理)となるのは
GMが事前に提示するハンドアウトですよね。
ハンドアウトの実体はPCの[秘密]と[使命]、
それをプレイヤーの人数分、破綻なく用意するところが
じつはGMが最も注力すべきポイントだと思います。


そんなもの適当にやってセッションの成り行きに任せればよいのかもしれませんが。
PCによってはクライマックス前に使命が空中分解して「目的を失う」おそれもあるでしょうし、
セッション進行のかなりの部分をプレイヤーに依存するからには
(予測不能な展開になるのはカクゴするにしても)
できるだけPCどうし公平な目的を持たせなければならない。


このリプレイの舞台が学校になってるのはプレイヤーと読者のコンセンサスをとりやすいからでしょうけど
参加する人の得意ジャンルが揃っていれば、企業と政治絡みの陰謀うずまく社会戦、山あいの寒村を舞台にしたミステリ仕立て、まさに伊賀甲賀のようなからくりニンジャ合戦でもイケるでしょう。


そうして考えるとシノビガミのシナリオのバリエーションは簡単には枯渇しない。
その舞台とPCたちの初期値を決めることこそが、シノビガミに於けるGMのお仕事。
それさえ決まればセッション中のシナリオハンドリングなんか余録ですよね(笑)。


や、やっぱり椎葉にはハードル高いような(汗。