読んだ本

Book
狼と香辛料 XIV
番外を3冊挟んで14冊目。ロレンスの一人称で進む本編はあいかわらず『予定されている別離に向かうための儀式の積みかさね』みたいな展開。レギュラーの登場人物がさりげに増えてきてるせいもあってホロとロレンスの『腹のさぐり合い』『顔色の読み合い』的コミュニケーションは少ない。というか六巻あたりからそんな展開だっけ。今回はアニメ版ではすっとばされたゲストキャラが再登場、よもや旅の道連れがまだ増えるのかと思わせておきつつ、なんとそういう決着にしましたか。あとがきにも書いてあるとおり、今年のうちにはこの物語も『節目』を迎えそうな、そんな幕引き。
それはさておき今回も商取引に関する概念が概念が直観的にわからない。貨幣価値の上下とか、商会どうしの為替取引とか。図でも描いてリクツで考えれば理解は出来るけど「アタリマエのこと」として感じることができないというか。時間移動とか平行宇宙とか逆転世界とか禅銃とかはフツーにわかるのになあ(SF脳)。自分にとって商取引のほうがセンスオブワンダー。こんなことだから実社会で苦労するってそれはまあさておき

おいでませり2
いっぽうでこれをSFとしたとき、ジツはハードル高いような気がする。不思議なことが不思議に起こるだけのファンタジーと、かなり高次で区別される(=一見すると区別がつかない)のではないかなあ。最高峰たる一握りの作品群から拡がるSFの裾野はやたら広くて、この作品はそのかなり辺縁付近に位置するのはまちがいないのですけど。表面的に『ゆるいSF』と思っているとセリさんの行動が理解できない。いや、ちょっと難しく考えすぎてる? 作者さんはもっとゆるく捉えて描いてるとは思うんだけど。